「願望の具現化・達成」のステップ



「旅の仲間」がたどる冒険物語


 

仮にこういう、

ファンタジー(冒険物語)を考えてみて下さい。

ある戦士集団が、

見知らぬ土地に行って、

ミッション(使命)を果たそうとしているという、

冒険物語です。

 

その戦士集団、

小集団それ自身が、

自分自身であると、

想像してみて下さい。

 

メンバーの誰かが、自分なのではなく、

個性的なメンバー全員が、

自分自身(の分身)であるということです。

自分自身が、

そのグループ自身である、

ということです。

 

というのも、

実は、

私たち人間の心とは、

複数の欲求や、

複数の自我状態が集まった、

「集合体」(グループ)であるからなのです。

→姉妹サイト「複数の自我」
 

そのために、

さまざまな問題や葛藤を引き起こすと同時に、

多様な創造性も持っているのです。

 

さて、そして、

物語では、

その戦士集団が、

これから、あるミッションを

完全遂行しようとしているわけなのです。

 

その集団は、

協力し合う中で、

仲良くやったり、喧嘩したり、

成功したり、失敗したりと、

使命達成のための、

旅の道中にあるというわけです。

 

願望の具現化・達成するとは、

そのような、

ミッション遂行のための、

作戦や戦術を構成する、

「戦士的な技法」である、

ということなのです。

 

というのも、

一見、有限な、

「心のエネルギー」を、

いかに的確に、集中的に組織化して使うかが、

ミッション完了のための、

鍵となるからです。

 

ここでは、

ミッション完遂のための、

旅の準備・作戦立案、

作戦遂行を、

いくつかのステップに分けて、

整理してみたいと思います。

 

これは、当然、

クライアントが、

目標達成・願望の具現化するための、

ひとつの隠喩(メタファー)です。

 

実際のセッションでは、

クライアントの方の、

それぞれのケースにしたがって、

各ステップや項目を、

仔細に取り上げ、

ワークを行なっていくことで、

内容を深く掘り下げ、

統合化・充実化させていきます。

その結果として、

願望の具現化・達成を、

推進していきます。

 

 

◆ステップ1 ミッション(使命)の確認

 

①使命

 

なぜ、この使命を達成しなければならないのか。

部隊のメンバー全員が、

「血の一滴に至るまで」

疑問なく納得し、欲していなければ、

願望の具現化はできません。

 

物語的にいうと、

ミッションを遂行する途中で、

死んでしまう可能性さえあるのです。

その時に、

作戦行動の途中で納得して死ねるか、

よく思いめぐらしておく必要があります。

 

自分にとって、

本当に価値ある作戦に従事しているという、

納得感と欲求の強さが、

死を肯定できるためにも、

必要なことなのです。

 

そして、そのくらいまでに、

このミッション(使命)が、

きちんと肚に落ち、

自己の深いところと、きちんとつながっていると、

それだけで、無意識の力を含んだ、

強力な動力源となります。

行動を、

やり切ることができるのです。

自己の全体性(心)から来る、

未知の未開発の力も、

呼び込むことができるのです。

 

逆にこの使命が、

すみずみにまで定まり、

決まってないと、

いざという危機の時に、

脆くも、

心の隊列が崩れてしまうのです。

 

 

②達成時の状態イメージ

 

使命を達成された時(結果)の状態を、

よくイメージできている必要があります。

そこは、

どのような素晴らしい世界、

存在や意識の肯定的状態、

体験領域であるのか、です。

逆にいうと、

その価値の実現のために、

この旅は、続けられているのです。

その状態は、

本当に、自分が欲しているものだろうか。

内的な感覚・感情などは、どうなっているのか。

外的な環境は、どうなっているのか。

自己の存在状態は、どうなっているのか。

 

その状態感覚と、

身体的に深くつながっていると、

無意識的な動力・引力となり、

旅を導く、重要なセンサーになります。

また、

現時点での、

自己の達成具合が、

どの程度のものなのか、

測定できることとなります。

 

自分が正しい道を行っているのか、

間違った道に入り込んだのか、

身体的な、野生の感覚が教えてくれるのです。

 

 

③到達点/ガイドライン

 

個々の作戦行動で、

何が達成で、何が達成でないのか、

そのガイドラインを、

設定しておく必要があります。

旅の途中で、

自分たちは、どこまで来たのか、

自分やまわりの状態がどうなのかを、

随時、確認・点検できなくてはならないのです。

 

状況変化は、常に起こっています。

世界は、流動しているからです。

時々に、戦略や作戦を見直し、変更する必要があります。

そのため、

点検のための指標を常に整備しておく必要があります。

 

 

◆ステップ2 戦略と情報 

 

①戦略、戦術、作戦の徹底性

 

さて、ミッション達成の作戦行動を起こす前に、

戦略、戦術、作戦、戦闘スキル等が、

「徹底的に」考え抜かれている必要があります。

また、突然の状況変化に備えて、

数々のプランやシミュレーションが、

複数持たれている必要があります。

 

それらが、

中途半端なものではなく、

徹底的に考え抜かれ(やりきられ)、

万全に持たれることにより、

私たちはより専心して、

ミッション遂行に集中できるようになるのです。

肚の底まで、考え抜かれていない作戦に、

私たちは納得して、

コミットメントできません。

事前に、そのレベルまで、

考え抜いておく必要があるのです。

また、そのプロセスを経ることで、

私たちの中に、

「一種、透視的な眼力」が、

育って来ることにもなります。

それが、とても重要な能力となるのです。

 

また、

最終的に採用されなかったことしても、

検討された情報は、決して無駄になりません。

いざという作戦変更の時に、

それらが、活きて来ることも多いからです。

オプションや引き出しの数を増やす意味でも、

関連領域をくまなく、粘り強く検討することが、

最終的には、爆発的な力を生み出しことになるのです。

 

 

②汚れていない情報

 

そして、その前に、

重要なのが、情報戦であり、

正しい「情報」の獲得となります。

間違った情報の上に、

どのような優れた戦略や作戦が描かれても、

それは無だからです。

正確な情報が、

正しい戦い方を導き出すからです。


ところで、情報には、
「汚れた情報」と、
「汚れていない情報」とがあると、
言われます。

例えば、特殊部隊では、
部下が伝えて来た情報に対して、
上官は、ただ受け取るだけで、
フィートバックを返さないと言われます。

上官が、フィートバックを返すと、
そのうち、部下は、上官が喜ぶ、気にいる情報ばかりを、
持ってきがちになるからです。

(ダメな会社組織に、よくある風景です)

 

これが「汚れた情報」です。
これは、部隊にとっては、致命的です。

その間違った情報のせいで、

部隊が全滅する可能性さえあるからです。

必要なのは、
上官(上司)が喜ぶ情報ではなく、
戦況の正しい情報なのです。
必要な情報とは、

「そうあって欲しい情報」なのではなく、

「真実の情報」です。

 

このことは、

私たちが世界や状況を見る時も、

同様です。

 

そのためには、

平坦に「ただ在る」情報を見て、

自己を度外視して、

それを冷徹に受け取っていくという、

 戦士的なスキルが必要なのです。

 

そして、多くの場合、

情報が汚れてしまうのは、

心理的な問題の投影のせいです。

その歪んだ情報のせいで、

間違った作戦や行動、部隊の死が、

生まれてしまうのです。

 

セッションでは、そのような

「心理的な曇り」を取り除き、

状況が、クリアに見えるように、

ワークを行なっていきます。


 

◆ステップ3 部隊の編成と装備の拡張

 

もし、私たち自身が、部隊であるならば、

精鋭部隊であるのか、雑兵や烏合の衆であるのかは、

重要なポイントです。

 

個々の練度(スキル)も当然必要ですし、

個々のメンバーの編成や協力が、

完全に一つになっているか否かが重要です。

 

自分の内的な欲求(感情)や、

リソース(資源)、エネルギーの方向づけが、

きちんと統合されているか否かです。

 

資源とエネルギーには限りがあります。

戦力の的確な集中ができているかが、

肝となるのです。

 

通常、敵を制圧するには、

敵の3倍の戦力が必要とされます。

その戦力がきちんと調達され、

組織化されているか、

戦士的な、エネルギーの統合・焦点化・完全性が、

ここではテーマとなるのです。

通常の人は、このエネルギーが、

圧倒的に不足しているのです。

 

◆シャーマンの戦士的姿勢

 

ここで、ヒントになるのが、

伝統的なシャーマニズムの中で、

シャーマンが持つ、

戦士的な姿勢です。

彼らは、エネルギーを無駄にせず、

かつ広大な潜在能力を、

自在に汲み出すために、

戦士的な姿勢を重視します。

聖なるパイプの喩え(メタファー) エネルギーの流通と集中

 

一旦、そのような自己の潜在能力との、

エネルギーの通路を確保できると、

私たちの人生の風景は、

一変していくこととなります。

このような「通路」、

意識=存在状態のあり方を、

当スペースでは、

「X意識状態(XSC)」と呼んでいるわけなのです。

 

ステップ2では、セッションで、

「心理的な曇り」を取り除くことについて、

触れました。

そこでは、同時に、

ステップ3のテーマである、

心理的な統合や、

潜在力の活性化・覚醒ということも、

同時に行なわれていくこととなります。

いわば、

「部隊の堅固な組織化」と、

「装備能力の拡張」ということです。

 

 

ステップ4 サイクル 効果検証・行動修正

 

実際に、作戦行動をする中でも、

計画の完全遂行を狙うとともに、

つねに冷徹な効果検証を、

行なっていく必要があります。

 

もし、正しい行動を完全遂行したのに、

効果が計算どおりに出ないとしたなら、

そこには、何か「間違い」がある、

ということだからです

その情報を、正確に把握し、

作戦の軌道修正をする必要があるのです。

 

セッションでは、

そのような振り返りを深めることで、

新しい切り口が、

さまざまに見つかっていくことになるのです。

 

このようなサイクルを、

日々、着実に回す中で、

私たちは、確実に、

腕と戦果をあげていき、

最終的には、

ミッションを達成することができるようになるのです。

 

 

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さて、以上、

自分を、戦士集団に見立てて、

ミッションを達成するステップを、

ざっと見てみました。

 

実際のセッションの中では、

具体的な目的や目標を素材に、

クライアントの方の中で、

妨げとなっているものは何か、

新たに生成・組織化が必要なものは何か、等を、

検討したり、深めつつ、

また、クライアントの方の、

内的なリソース(能力・状態)をさまざまに引き出しつつ、

願望の具現化・達成に向けて、

一歩一歩進んでいくこととなるのです。